明治維新の怪物

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去年(2021年)の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一

吉沢 亮さんが体当たりで快活に演じてくれていました。最終回はまだ録画して保存してありますが、孫の敬三が故郷、血洗島で若き日の幻の栄一と出会って「今、日本はどうなってる?」「恥ずかしくて言えません」と会話するシーンで……僕はボロ泣き😭

日本の事を最後まで憂いていた栄一。

よくぞ!彼を取り上げてくれたとNHKを見直しました。

そんな彼の熱い想いが詰まった『論語と算盤』を拝読させて頂きました。想像以上に内容が盛り盛りで例えるなら毎日ステーキと焼肉を食べるみたいなイメージです。

渋沢、曰く

論語(=道徳)と算盤(=経済)は必ず一致する」というもの。「論語」は孔子の教えをまとめた本です。

日本資本主義の父と呼ばれた栄一は明治維新以降、武士が廃止され急激に西洋文明を取り込んだ日本人の利己主義の暴走に歯止めが必要だと考えていました。


道徳心や倫理観(人としてのあり方)が欠けている』と。


立場の上下(違い)を問わず自分一人だけの利益を考えれば国は危うくなる。さらには悪に走って他者から奪いとらなければ満足できなくなる。

なんだか図星すぎて恐ろしくなりました。

渋沢は国家や社会が安定し豊かにならなければ個人が豊かになることはないと考えます。

ドラマでも、母:ゑい(和久井 映見さん)が「自分だけじゃなくて、みんながうれしいのが一番いい」のだと幼少の栄一に教えます。

それを実現するには人間性・人格を磨くしかない。江戸時代までは「武士道」がその役割を担ってきました。同じく『論語』。心の道徳教育。善悪の判断。清らかな心に基づかない経済活動は長く続かないのだそうです。


僕が衝撃を受けたのは、新たな文明をもたらした当の欧米人から日本の商工業者は道徳という考え方を無視していて、正しくない行いで私利私欲に走ってしまう傾向があると非難され信用されていなかったというところです。

明治の時点で海外からこんな風に思われていたってことが大変ショックでした😱


そして今も変わっていないのかもしれないと考えたら150年以上この日本という国はいったい何をやっていたのだと。同時にこの本(「論語と算盤」)が大正5年という大昔に出版されているという事実………大正5年時点の問題が令和4年と一緒って、、、マジで恐くなります。


冒頭で申し上げた通り『道徳と経済』は両立するのです。いや【道徳とともにしか成立しない】とこの本(「論語と算盤」)が教えてくれています。


人間の本性は善です。

若くて未熟な時は悪に染まりやすいですが、悪人が悪いまま終わるとは限らず、善人が良いまま終わるわけでもない。だからこそ、克己心、意思力をもって自己を律し、悪人を悪人として憎まず、できればその人を善に導いてやりたいと渋沢は考え悪人であることを知りながら世話をしてやることもあったと語っています。


そして91才のその時まで毎日スクワットを行い、1日3時間以上の読書を続けていた渋沢。パワフルすぎる😳


最後に、あの明治維新の豪傑・西郷隆盛の人柄についての記述がありました。実際に渋沢が西郷さんに会った時のリアルな感想だというところに僕がほっこりしたので載せておきます。

「西郷さんは参議という役職で、政府の中では最も高い地位にいた。わたしのような官職の低い小者のところへ、わざわざ訪問されるというのは、普通の人ではできないことで、私はすっかり恐れ入ってしまった。知らないことは知らないと素直に言ってまったく飾り気のない人物が西郷さんだった。心から尊敬する次第である。」